新進演劇人育成事業 演劇系大学と演劇界を繋ぐ上演企画
演劇系大学共同制作公演2020
多摩美術大学企画
主催:多摩美術大学
共催:公益財団法人 東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
後援:東京演劇大学連盟
あたらしい憲法のはなし
作:柴 幸男 演出:西 岳
スタッフ・キャスト募集
※こちらでダウンロードできるのはU35専用応募用紙です。
U35については下記の詳細をご参照ください。
演大連加盟校の在学生は各大学のガイダンスや担当教員から入手してください。
はじめに
多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科は、「新進演劇人育成事業・演劇系大学と演劇界を繋ぐ上演企画」を立案し、大学における演劇教育と演劇界の現場との繋がりの更なる顕在化を目指します。
近年、日本の現代演劇界では、演劇系大学出身者の活躍が多く見られるようになりました。
演劇界で活躍する現役の演劇人が、大学で教学に従事するケースも増加かつ定着しています。演劇の専門教育の現場と、その学びを生かす演劇の現場のプラットフォームの構築が出来てきていると評価されてよいでしょう。
周知の通り、戦後の日本の現代演劇界は、民間の劇団による養成機関、あるいは大学の劇研(演劇サークル)出身者が多くを占めてきました。そこに、演劇系大学の存在が加わることで、演劇界が多様に活性化しています。一方、演劇系大学の卒業生が、演劇界で活動を継続していくことに対する支援体制は、十分とは言えない課題を抱えています。大学と演劇界が共に検証する場の創出も必要です。専門的な学びを生かし、表現活動を継続していく人材を、大学も文化芸術界も求めています。
演劇系大学共同制作とは
東京演劇大学連盟が後援を行なっているインターカレッジの演劇公演です。
“東京演劇大学連盟”は、永年の期待を経て、演劇の実技教育を担う都内の5大学が集い2013年春に設立した連盟です。現在の加盟校は、桜美林大学・玉川大学・多摩美術大学・桐朋学園芸術短期大学・日本大学です。
大学における演劇の実技教育のあり方や、社会との関わりを検証し、公共劇場(平成25年度の活動から東京芸術劇場が後援)とも連携しながら、研究と企画を展開しています。
“東京演劇大学連盟“のネットワークによってこれまでに7回の共同制作公演を実施してまいりました。輪番制による担当校が各年度の企画立案、運営を行います。
演劇系大学共同制作公演のあゆみ
2013
文化庁委託事業【平成25年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業】
「演劇系大学連携による演劇人育成(『わが町』上演)」
(主催:文化庁/日本大学)
作:T・ワイルダー 演出:桐山知也
2013年9月5日〜8日 5ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2014
文化庁委託事業【平成26年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業】
「桐朋学園芸術短期大学企画製作『見よ,飛行機の高く飛べるを』による演劇人育成事業」
(主催:文化庁/桐朋学園芸術短期大学)
作:永井 愛 演出:越光照文
2014年9月12日〜15日 6ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2015
文化庁委託事業【平成27年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業】
「演劇系大学 共同制作による『カノン』上演と、関連ワークショップ、シンポジウムによる演劇人育成事業」
(主催:文化庁/多摩美術大学)
作:野田秀樹 演出:野上絹代
2015年9月11日〜15日 7ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2016
文化庁委託事業【平成28年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業】
「新進劇作・演出家の作品上演『昔々日本』と、関連ワークショップ、シンポジウムによる演劇人育成
事業」
(主催:文化庁/桜美林大学)
作:演出:山本卓卓
2016年9月8日〜11日 6ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2017
演劇系大学共同制作 玉川大学企画
『Theatresports™』
演出:太宰久夫 監修:絹川友梨
2017年9月15日〜18日 5ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2018
演劇系大学共同制作 日本大学芸術学部企画 中央戯劇学院(北京)合作
『ecstasy ~方円の恍惚~』
演出:范旅・李雄輝
2018年9月6日~9日 7ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
2019
演劇系大学共同制作 桐朋学園芸術短期大学企画
『Musicalファザーファッカー』
作:内田春菊 演出:ペーター・ゲスナー
2019年9月6日〜8日 6ステージ @東京芸術劇場 シアターイースト
演劇系大学共同制作2020
8回目にあたる2020年は、多摩美術大学が、担当校です。3回目にあたる2015年の『カノン』(作:野田秀樹 演出:野上絹代)につづいての担当です。『カノン』の成果は、新進演劇人であった野上絹代の演出家としてのジャンピングボードともなり、2020年3月に東京芸術劇場主催公演として取り上げられます。新進演劇人の育成・支援の事業の発展的成果の顕著な例といえましょう。
高等教育機関と公共劇場を含む演劇界を具体的に繋ぐ事業として、実績を継承,深化させていきます。大学、公共劇場、演劇界が連携関係を築くことで豊かな劇場文化の更なる開花に繋がる活動を目指します。
企画概要
『あたらしい憲法のはなし』(作:柴 幸男)を2020年9月に、東京芸術劇場シアターイーストで上演します。演出は、新進演劇人の西 岳(シラカン主宰・2018年度多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科卒)が務めます。
劇場入り期間=2020年9月7日(月)〜13日(日)
5ステージ(予定)
製作期間 2020年5月〜9月(詳細はスケジュール表を参照)
稽古・製作場 多摩美術大学上野毛キャンパス(世田谷区上野毛3-15-34)
『あたらしい憲法のはなし』の初演は2015年9月。パルテノン多摩 水上ステージ。柴 幸男演出で上演されました。
初演時に柴 幸男はこのように語っています。「1947年から1952年までのたった5年間のみ使用された教科書『あたらしい憲法のはなし』。この本を原作に演劇をつくりたいとずっと考えていました。僕も憲法の専門家ではないので詳しいことはわかりません。だけど、人と人が一緒に生活したり、約束したり、喧嘩をしたり、許したり、なんとかよりよくやっていこうとすることと憲法というルールはどうやら無関係ではない気がするのです。私たちはみんな憲法という巨大な戯曲の上で演じる俳優なのかもしれません。生活を観察して演劇することで私たちの理想をもう一度、問い直します!」
演出の西 岳は多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科在学中に主宰団体を立ちあげ、その旗揚げ公演から注目を浴びる作品を生み出しています。
ユーモアと批評性を併せ持つ新鮮なテイストを持っています。
多様な個々が集まりグループワークする創造の現場で、“演劇”や“憲法”の意味合いを考えながら新鮮な作品を創造し、社会に、未来に届けましょう。
そのスタッフ、キャストを公募します。
東京演劇大学連盟のネットワークを最大限に活用するとともに、連盟加盟大学の在校生に限らない新進演劇人※を対象とするオーディションを実施いたします。
演劇創造の現場で学び、協働する意力のあるメンバーを募ります。
※新進演劇人
本企画における定義
「公演千秋楽(2020年9月13日)において35歳以下であり、かつ演劇界での活動実績がある方」とします。以後、U35 と表記します。
<西 岳からのメッセージ>
みんなそれぞれ目標を持っていると思います。
明日の夜も美味しいご飯を食べて早く寝るみたいな些細なことから、
10年後にはこうなっていたいという長い時間が必要なことまで色々と。
ただ、どの目標も健康に生活できていることが前提になってるなと
『あたらしい憲法のはなし』を読んでしみじみと感じました。
健康に生活している、そんな前提が当たり前であるためには何が必要か、
そんなことから話し合って作品を作っていきたいです。
自分たちの未来のために、もっと先のために当たり前を繋げる創作を一緒にしましょう。
オーディション実施前に、作品と企画に関するセミナーを行います。
参加の有無が、オーディション選考に影響することはありません。
ご参加いただける方は、セミナー前日までに、事務局へメールでご連絡下さい。
2020年3月26日(木)18:00〜20:00 @多摩美術大学 上野毛キャンパス
講師:水谷八也
ご専門の英米演劇の研究や、翻訳家としてのご活躍の一方『見当識と素材を取り戻すための自主ゼミ』を早稲田大学で開講。わたしたちの現在地を照射する視座を、ダイナミックな近代批評から導き出されています。柴 幸男とは『あたらしい憲法のはなし』(演出:柴 幸男)をめぐる対談を、2016年に行なっています。https://synodos.jp/culture/15882 演劇大学連盟での第一回共同制作公演『わが町』の上演台本は、水谷先生の翻訳でした。
水谷八也(みずたに はちや)
早稲田大学文化構想学部(文芸・ジャーナリズム論系)教授。専門は20世紀英米演劇。編共著に『アメリカ文学案内』(朝日出版)、訳書にアリエル・ドルフマン『谷間の女たち』(新樹社)、『世界で最も乾いた土地』(早川書房)、また上演台本翻訳にソーントン・ワイルダーの『わが町』(新国立劇場)、アーサー・ミラーの『るつぼ』(新国立劇場)『彼らもまた、わが息子』(俳優座劇場プロデュース)など。
柴 幸男(しば ゆきお) 劇作・演出・ままごと主宰
1982年生まれ 愛知県出身
青年団 演出部/急な坂スタジオ レジデント・アーティスト
多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科 講師/四国学院大学 非常勤講師
東京の劇場から北九州の船上まで、新劇から学芸会まで、場所や形態を問わない演劇活動を行う。
日本大学藝術学部在学中に『ドドミノ』で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞。
2010年に『わが星』で第54回岸田國士戯曲賞を受賞。
2013年の瀬戸内国際芸術祭より小豆島での継続的な滞在制作を開始。島民や観光客を巻き込み、"その時、その場所で、その人たちとしかできない演劇"を上演している。また、アートスペースを併設した休憩所である、象の鼻テラス(横浜)では、パブリックスペースという特徴を生かし、流れる人と時間をそのまま劇中に取り込んだ作品づくりを3年間行った。
西 岳(にし がく) 劇作・演出・シラカン主宰
1993年生まれ 愛知県出身
2015年多摩美術大学入学とともに演劇活動を始める。
2016年にシラカンを結成、横浜を拠点に首都圏以外でも活動を続ける。
独特な言い回しの会話を中心に、この世に存在はするけれど目には見えないモノ・コトを過剰な見立てで可視化する手法で作品をつくる。
美術、音響、照明、役者、空間その場に存在するものが同価値に感じられるような効果を観客に与えることを目指している。
2017年『永遠とわとは』で第2回全国学生演劇祭審査員賞・観客賞・大賞を受賞
同年『花擤んでふゆう』フェスティバル/トーキョー17「実験と対話の劇場 - 新しい人 / 出来事の演劇 -」 (キュレーション 松田正隆)参加
2018年『坦々とおこり』東京・名古屋・横浜の三都市ツアー
佐藤佐吉演劇賞2018優秀演出家賞受賞
シラカン以外でも2018年に多摩美術大学と二子玉川ライズによる地域連携アートプロジェクト「タマリバーズvol.8 広場演劇 『タマゾニア』」で6時間に及ぶ屋外公演を作・演出。2018年APAF - アジア舞台芸術人材育成部門に演出助手として参加し海外アーティストと創作を行うなど活動の幅を広げている。2020年は『爽快なたてまえ』3月6日〜3月8日@京都人間座スタジオ 主催:シラカンと『タイトル未定』12月@ロームシアター京都 ノースホール主催:シラカン 共催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都市の作:演出が決まっている。
多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科 (担当校事務局)
演劇舞踊デザイン学科は、2014年に設置された学科です。新しい学科ですが、多摩美における演劇教育の歴史は永く、その原点には1954年に開校した多摩芸術学園・演劇学科(56年には舞台美術学科設置)があります。改組という脱皮を重ねて、今日に至ります。”今日の表現“としての演劇を創作・探究する学科の歴史が刻まれています。
◆企画およびオーデションに関わるお問い合わせ先
〒158−8558 世田谷区上野毛3−15−34
多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科内
演劇系大学共同制作公演2020事務局
本企画は「令和 2年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」(文化庁文部芸術文化課)に企画申請しています。採択の結果は2020年3月末を待つことになりますが、結果の如何を問わず、企画は行います。